あったかもしれないカリオンくん。

 隣の女がやたらくっついてくる。あまりすり寄られると臭いがつくので嫌だ。  ハルに勘違いされたらどうしよう。  臭いわけではないが、異性の香りをさせていると村の女達は不機嫌になる。 ――なによあなたったら! う、浮気なの? ――馬鹿言え、そんなことするわけないだろう。お前だけだよ……。  とか言いながらけっきょく仲直りしていた。  ……いいかもしれない、と思って慌てて首を振る。  夫婦だから仲直りできたのだ、自分にそれは当てはまらない。  自然と耳が垂れてくるのを感じながら「前向きに!」と内心自分を励ました。